• テキストサイズ

文スト夢倉庫

第9章 織田作之助/キミと描く物語




「聖子、一生の思い出にしなくても、また4人で行けばいい。お前さえ、嫌でなければ」
「嫌なわけないじゃないですか!!」


織田作センパイはずるい。
あーゆーカッコいいことサラッと云うんだもん。


「また、絶対行きましょう!!」
「ああ」



くるっと回って歩いていくセンパイを、姿が見えなくなるまでずっと見送った。






それから、私たちはよく4人で飲みに行くようになった。
お酒も結構慣れてきたから、前みたいに潰れることも無くなった。
………それはそれで、おんぶしてもらう口実がなくなって少し寂しいが。
でも安吾さんに「お酒の飲み方を覚えてきましたね」って褒められたし、太宰さんにからかわれることも少なくなったからよしとする。


こんな毎日が続けばいいと思っていた


そんなある日。





「最近…、安吾さん居ませんね…」


いつものルパンで、ボソッとそんなことを口走ってしまった。


「あれ?織田作から安吾に気持ちが移ってしまったのかい?」
「それは無いです!!!」
「そんな風に言い切ったら安吾が少し哀れだよ」
「あっ、いや、別に安吾さんが嫌いって訳では無くてですね…織田作センパイがダントツ過ぎると言いますか…」
「わかってるよ(笑)」
「じゃああんなこと言わないでくださいよ!!」
「あははっ♪ 面白いからついつい♪」
「…安吾は…最近忙しそうだな?」
「そうみたいだね。…まぁ、安吾の仕事が仕事だし…ね」
「何か知っているのか?」
「………さぁ?」



こういうときの太宰さんは絶対何か知ってるんだ。
でも、織田作センパイはその先を絶対に聞かない。
オトナなアイコンタクトを交わす二人が羨ましくって、少し悔しくって。
だから。


「あ!そうだ!!」


私は話を思いっきりすり替える作戦に出たのだった。



「織田作センパイ!明日の任務は犬探しでしたよね♪」
「あぁ。そうだな」
「え、そんな事してるの? いいなぁ…私と替わってよ聖子ちゃん」
「絶対に嫌です!!」
「ちぇー」
「私、犬探しなら自信あるんです!!パパっと捕まえちゃいましょうねセンパイ♪」
「そうだな」

(明日…か。そういえば明日って…確か台風がやって来るんじゃ…。ま。いっか2人とも楽しそうだし)



/ 102ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp