第2章 プロローグ
カシャカシャカシャ…
金属のボウルに泡立て器が擦れる音がする。
田中「川野さーん?これ失敗したやつなんだけど食べるー?」
そう言って田中さんは、大量のクッキーが入ったカゴを差し出した。
和奏「わっ、こんなに良いんですか?!」
田中「良いのよ〜。私が食べたらお医者様に怒られちゃうから。」
そう言って田中さんは陽気に笑った。
ひと通り笑った後、私に向き直り、
田中「まぁ、若い子が食べなさい!」
と、半ば押し付けに近い感じでカゴを渡された。
とはいえ、甘いものは目がない私。
目の前にある甘くて香ばしい香りを漂わせているクッキーに夢中になって、
和奏「ありがたくいただきます…!」
いつものように受け取っていた。
また太っちゃうな、とかつぶやきながらも、頭の中は今もらったクッキーのことでいっぱいだった。
朝はまだ始まったばかり……。