第1章 はじめまして。こんにちは(太宰治)
太宰side
「ちゃん〜!」
『ッ!太宰さんッ!?』
止めてください!と抱きつく私を振りほどこうとするちゃんに私はしつこくベッタリと張り付いた
察しの通り、ちゃんと私は付き合っている
ちゃんは鏡花ちゃんと一緒に探偵社に来た
とはいえ、ちゃんは私がまだポートマフィアの幹部だった時にはもう既にポートマフィアに居たから私達は顔見知りだった
探偵社の皆も私とちゃんが付き合っている事を知っている
「おい太宰。を困らせるな」
そんな事をしていたら何時来たのか、私の背後に来た国木田くんが私の首根っこを掴むと私を子猫の様にヒョイと近くの私のディスクに半ば乱暴に落とした
酷くない!?
『ありがとうございます..国木田さん』
ちゃん!?
「嗚呼。.....そう云えば。お前そろそろ時間じゃないか?」
自分の腕時計を見ながら呟く様に云った国木田くんにちゃんは「そうですね....」と軽く肯定しながら席を立った
確か簡単な仕事だったはずだけど.....
ガチャ
「あれ?もう行くの?」
「乱歩さん」
話を聞いていたのか、先程まで社長室にいた乱歩さんが少し不安げにちゃんを見ていた
その視線に気づいたのかちゃんは眉間にしわを寄せ『どうかしましたか?』と静かに訊ねた
「..少し厭な予感がする」
ゾクリ。一瞬悪感がその場を包み込んだかのように視えた
『厭な予感...ですか?』
乱歩さんの勘は良く中る。ちゃんもそれが解っているようで、警戒しているのが良く判った
「うん。何かは解らないけどね」
乱歩さんは何時も道理の明るい口調のはずなのに何処か慎重で、何かを警戒しているかのように感じた
『もう...行きますね』
ちゃんは俯き、何かを隠すかのように探偵社から出ていった
これが一週間前の出来事で、全ての始まりだった