第9章 旅行に行こう 1 ※
side.カラ松
カ「わぁ、すごいな!露天風呂じゃないか」
都心を離れ、随分と車を走らせた
少し山を登ったとこにある温泉街
そこにある小綺麗な旅館
その1室に通され、奥の引き戸を開けると目の前には澄んだ空と露天風呂
なぜこんなとこにいるか
遡ること2週間ほど
* * * * * *
カ「旅行?」
「そ。有給も使って2泊3日くらいで」
突如もたらされた旅行の話
とりあえず2人でゆっくり過ごそうかと、温泉にでもということらしい
カ「いいな」
「んじゃ、決まり」
* * * * * *
そんな感じでいきなり決まったのだ
カ「でも急にどうしたんだ?」
「どうって」
彼は未だ露天風呂へ続く引き戸の側に立つ俺の隣に並ぶ
「新婚旅行・・・・のつもり、だけど」
カ「へ?!」
ボソボソと話す煌
予想外だった返答に素っ頓狂な声が出た
煌を見ると心なしか顔が赤い気がする
カ「そ、そうか」
「・・・こっちみんな」
余程恥ずかしいのかプイッと背中を向けてしまう
カ「フッ、内気なシャイボーイめ」
「意味一緒だし。どんだけ内気なんだよ」
そんな他愛ないやり取りがいつになく楽しい
場所というか、環境が変わるだけでこうも違うものだろうか
カ「なぁ、今日はどうするんだ?」
「特に決めてないけど。その辺ブラブラするか」
荷物をまとめ、部屋をあとにした
土産物屋や食べ物屋が立ち並ぶ道を歩く
カ「温泉饅頭食べたい」
「やっぱり食い気か」
俺の言葉に煌がクスリと笑った
一通り散策をし、風景と食を堪能する
部屋に戻る頃には日が西へと向かっていた
「あんだけ食って夕飯入るのか?」
カ「うまいものは別腹だ」
「それじゃあ全部別腹じゃん・・・飯前に一回風呂入るか」
そう言いながら煌はいそいそと浴衣を用意しだす
カ「もう入るのか?」
「まぁ、メインだし。今歩いてちょっと汗かいたし」
カ「なら俺も入る」
そうして連れ立って露天風呂へと向かったのだった