第8章 花嫁修業?
『またおいで』と笑顔で両親に送り出され、自宅マンションの駐車場に到着する
カ「・・・あの」
車を停め、降りようかという時カラ松が小さく呟いた
「なに」
カ「勝手に・・・行ったこと、怒ってるか?」
太ももの上で拳を握り、俯いて話すカラ松
「なんで」
カ「さっきから機嫌悪いだろ」
「あー・・・」
言うか迷うな、父親に嫉妬したなんて
「別に怒る理由ないだろ、俺の為にって頑張ってくれるんだから」
カ「!・・だったら」
勢いよくこちらを向くカラ松を抱き締める
「父さんにあんな顔見せるから・・・ちょっと嫌だった」
カ「あんな顔?」
「可愛いって言われて嬉しそうってか、ちょっとキュンとしたでしょ」
嫉妬だと気付かれるのが恥ずかしくて、少しずつ声が小さくなる
肩越しにクスリと小さな笑いが漏れ聞こえた
カ「ジェラシーか?」
「うるさい」
カラ松はもう一度小さく笑うと、俺の背に腕を回して抱きしめ返してきた
カ「あれは息子と認めてくれたのが嬉しかったんだ。邪魔じゃないと言われて、この輪の中にいていいんだと思ったら、ついな」
そこまで言うとカラ松が身じろぎして体を離す
そのまま頬に手を添えられ、軽く口付けられる
カ「蓮さん達には悪いが・・・嬉しいな」
「ん?」
カ「抗い難いジェラシーを誘う・・・・俺ぇ」
「・・・ふはっ」
我慢すべきだと思ったが無理だった
決め顔をしながらセリフのように言う姿には、吹き出すほかなかった
カ「?」
「わり・・・ははっ」
キラキラとしたエフェクトをかけたくなるような顔に笑いが止まらない
カ「何がそんなに笑えるんだ」
「いや・・・まぁ、カラ松らしいからいいや」
軽く頭を撫でる
「何にせよ、たまにああやって行ってやってよ。楽しいみたいだし」
カ「嫉妬しないか?」
ニヤニヤした顔でわざとらしく聞いてくる
「・・・あんまベタベタしなきゃ」
カ「フッ、強欲なダーリンだな」
「はいはい、帰るよ」
恥ずかしくなって早々に車を降り歩き出す
それを追いかけてきたカラ松が指を絡めてきた
カ「次は何を教わるかな」
「何でもいいよ、カラ松が作るなら」
自分の為に何かしてくれることが嬉しい
出会ってここまで歩んでこれたこと、理解を示してくれた周りに感謝し、愛の巣へと帰り着くのだった