第8章 花嫁修業?
side.煌
仕事を終え、帰る連絡をしようとスマホをみるとメッセがきていた
『カラ松:すまない。急に用事が出来て外に出るから、夕飯適当にすませてくれ』
「めずらし」
兄弟の誰かだろうか
面倒だし、コンビニで買って帰るか
そう思い、車に乗り込むと着信を知らせる音楽が鳴る
画面表示は母さんだった
「もしもし」
結衣『あ、煌君?今日お夕飯作り過ぎちゃったから食べに来ない?』
タイミング良すぎな気がする・・・けど、久々に母さんの料理食べるのもいいか
「分かった、そっち向かう」
結衣『なら待ってるわね』
プツンと早々に電話が切れる
「なに焦ってんだ?」
まぁ、いい
取り敢えず向かうか
車を走らせて十数分、実家へとたどり着く
玄関をくぐると
結衣「あらあら、お帰りなさい」
相変わらず小走りで出迎えてくれる
これ、カラ松がやったら可愛いな
「ただいま」
邪な考えを隠すように俯き加減で挨拶を返した
結衣「すぐ食べれるように準備出来てるわよ」
ダイニングに向かいテーブルを見れば美味しそうな料理が湯気を立てていた
「和食なんだ」
結衣「嫌だった?」
「いや・・・いただきます」
箸を取り、まずは煮物を口に運ぶ
味がよく滲みていて美味しい・・・のだが
「味付け変えた?」
結衣「あら、やっぱり分かる?」
なぜか嬉しそうに笑う母
結衣「だってこれ作ったの彼だもの」
言いながら廊下向こうにある部屋の戸を開ける
そこには出掛けているはずのカラ松がいた
「え・・・何してんの」
カ「いや、えっと・・・結衣さんに料理習おうと思ってな。煌にとってはお袋の味だろう?」
結衣「カラ松君とお料理するの楽しかったわぁ、ね~」
照れているのか頬をポリポリと掻きながら話すカラ松と、余程楽しかったであろう母が満面の笑みでカラ松に抱き付いている
「母さん、近い・・・離れて」
結衣「あら、煌君嫉妬?」
カ「そう、なのか・・・?」
しまった、そう思った時には遅く今度は母が俺を抱き締めに来た
結衣「ふふ、可愛い息子が2人もいて嬉しいわ」
その様子を呆然と見つめるカラ松
それに気が付いたのか、ハッとして母さんが俺から離れた
結衣「あ、カラ松君も一緒にご飯食べなさい」
カ「え、あ、すみません」