第2章 逃走編
車は静かに街を走っていく。
王はタバコに火をつけ一服した後、話し出した。
「俺も、今の今までベトナムに行って帰ってきたばかりだから、あんまり状況を把握できてないんだよな。
なんとなく、おかしな宗教が流行りだしたのは知っていたけども」
明るい声で一気にしゃべった。
この人怖い。
顔は、中国人の俳優さんみたいで、すごくハンサムだと思いました。でも、なんだろう、この怖さ。マフィアのボスだって聞いたからかな。
「デスノートってなんだ?」
急に声のトーンを落として、突然の質問。
私はギュッとメロの手を握って震えを止めようとした。
「殺人、ノートです。名前を書くと人が殺せます」
なんとかそれだけ言えた。
日本では都市伝説になっているし、話しても問題ないだろう、そう思った。
「ほぉ…そんなノートが存在するのか。信じられない、といいたいところだが、これまでの事件を見れば…存在する、としか言えないよな」
そう言って、王は再びタバコをふかした。今度は「失礼」と言って薄くウィンドウガラスを開けて。
「で、お嬢ちゃんとメロは何をしようとしていた?」
「それは…」
話すべきだろうか。メロの意識は戻らない。一刻も早く医者に見せなくてはならない。
でも、それにはひとつ、聞かなくてはいけないことがある。
「メロを撃って、私たちのやろうとしたことを邪魔しようとしたんじゃ、ないんですか?」
「いや。とんでもない。むしろ、うちのやつが錯乱してメロを撃ったんだ。そんなことするようなやつじゃなかったんだけどな。…それで今から病院に運ぶところだった。意識を失う前にしきりにこのホテルに行って欲しいってメロが言ってたから、お前を拾ったんだ」
ケロリとそう答えたこの男。
結局、病院行くつもりだったのかよ!!
「まあ、いいじゃねえか。なにか協力できることはする。
うちも大勢やられてるからな、聖・シリウス教会には。
治療が終わったらお前のボスにいろいろ聞くぜ☆」
そう言って、さわやかな俳優スマイルを向けてきた。
胡散臭い男!!!
あとがき
おもしろいのか、これ…書いてて楽しいけども