第2章 逃走編
仲間にマットが加わった!
マットは時間があれば、だいたいゲームばっかりやっているけども、聖典の翻訳を手伝ってくれたりする優しい人でした。
「マットも潜入捜査一緒にやるの?」
と私がメロに聞くと、
「マットには発信機を持ったままノート捜索のかく乱をしてもらう。そっちに目が向いている間に俺たちは聖・シリウス教会に潜入する」
なるほど。まさか私たちの手元にノートがあるとは思わないものね。
「この前言っていた、『三国会はまだ使える』って言うのはなんでしょう」
「しばらくは三国会の幹部がノートを所持している、ということにしておきたい。マットの安全のためにも」
そして、本物そっくりのデスノートをマットが作ってきてくれていた。
「俺、こういうの専門じゃないから。頼むのやめて欲しいんだけど」
と、ぼやきながらも完璧な出来である。
そんなわけで、つかの間一緒にすごした後、マットはホテルをあとにした…私のカードキーを持って。
その数時間後、夜明けを待たずに私たちも出立した。
マットが発信機を持っていってくれたおかげで、私はやっと安心できて、メロの背中でついウトウトしてしまった。
私の腕の力が緩んだのが分かったのか、メロが私の腕を掴んで、
「死にたくなかったら、我慢しろ」
と言った。
「…ごめん…」
ニアとであって以来、まともに眠れていなかったせいか、だいぶ疲れが出てしまった。
腕の力を入れなおして、謝った。
「メロは、…だいじょうぶなの?私より寝てないよね?」
「べつに疲れてない。…まだまだこれから先が長い。疲れるには早すぎるだろ」
…そうですね。
あ、やばい寝そう。
再び腕の力が緩み始めた私に、メロは小さくため息をついた。
「あと、15分我慢しろ」
そこからあんまり記憶がないんだけど、なんとか15分は我慢したと思う。
目を覚ましたら、ビジネスホテルの天井があった。
「メロ…?」
時計を見れば、8時を回っている。
隣のベッドを見たけど、使った形跡はなかった。