第2章 逃走編
それと同時刻、ものすごい物音と悲鳴が屋内から聞こえた。
驚いてメロの顔を見ると、メロは顔色ひとつ変えずにチョコレートを食べ続けている。
何も聞くなって言われたから何も教えてくれなさそう、と思い、物音がしたほうへ行ってみようとドアのほうへ向かうと、
「今、いかないほうがいいと思うぞ」
と言われた。
「どういう、意味ですか?」
「お前、臨時捜査本部のカードキー持ってるな。それには発信機が入ってる」
「発信機?」
私の問いには応えず、不思議なことを言って来た。
えっとGPSみたいなやつのことかな。
折り曲げたり、裏表何度も視てみるけど、なんと言うこともないただのカード。
ニアが心配してつけてくれたのかな…いつのまにか。それにしても埋め込まれてるって…
もしかして、メロに連れて行かれるのは計算済みだったのかな?
あれ?でも、メロが私に死神が視えるって知ってるってことは、誰かがメロに私のことを…
疑問の無限地獄に陥る平凡な私。
「俺はノートを回収してくる。お前は荷造りして待っていろ。…見たいか?地獄絵図」
メロは深く腰をかけていたソファから立ち上がり、すばやく上着に手を通し、ニヤリと不敵に笑った。
何がなんだかわからない(何度目だ)けど、いやな予感がバシバシするので、おとなしく荷造りして待つだけにした。
一発の銃声が聞こえたような気がした。
その後、すぐにノートを持ったメロが再びバイクに乗るように言って来た。
いろんな疑問が駆け巡っているけれど、とりあえず黙って後ろに乗った。
しばらく走った後、私はメロに尋ねた。
「あの…何が起こったのですか?あの悲鳴」
「デスノートによる殺しだ。そのやり方は書き手によって自由に選べる。よって、一定の時間人を操って殺すことができるってことだ。殺したのはもちろん…わかるな?」
『キラ』によるものだ。
なんとなくだけども、生存者は私たちしかいないような気がする。最後の銃声は、操られてたヤツがメロを殺そうとしたから、メロが撃った…ってことかな。