Sweet Life 〜僕らの甘い時間〜【気象系BL】
第21章 なまリク♡vol.4 うさこさまリクエスト
雅紀side
「パパ、ショウくんとジュンくがいないの」
和に言われて、俺は辺りを見回した。
でも、そのどこにも二人の姿はなく…
「松岡先輩、もしかして二人、山に入ったかも…」
「かもしんねぇな…」
それまで楽しかった空気が、一転する。
「とにかく手分けして探すしかねぇな…。お前ぇらはここで待ってろ」
オロオロするママさん達に和とサトくんを託し、俺と松岡先輩は川沿いを上流へと向かって歩き始めた。
「待って…。僕も連れてって?」
走って来たのは、サトくんだった。
「ダメだよ、危ないから、サトくんは和と一緒にここで待ってて?」
「やらっ! 僕も行く! らって、ショウくんは僕の“コビト”だもん!」
珍しくゴネルサトくんに、俺と松岡先輩は顔を見合わせた。
出来れば子供達を危険な目には合わせたくない。
でも、松岡先輩はサトくんの目線まで腰を曲げ、
「よし、分かった。但し、だ…。絶対泣くんじゃねぇぞ? 泣いたら山ん中置いてくっからな? 約束出来っか?」
そう言って、サトくんの頭を撫でた。
「うん僕やくしょくするもん。泣かないもん!」
そう言ったサトくんの目には、もう涙がいっぱい溜まっていて、それをシャツの袖口で拭うと、鼻をズッと啜った。
「よし、暗くなる前に二人見つけっぞ!」
俺はサトくんの手を引いて、松岡先輩の後に続いた。
山の中は思ったよりも険しくて、奥へ進めば進む程、傾斜もキツくなってくる。
「大丈夫か?」
時折サトくんに声をかけるけど、サトくんはその度に大きく頷いて見せた。
普段はボーッとしてることの多い子だけど、案外しっかりしてるようだ。
「コッチ、行ってみるか…」
先を歩く松岡先輩が、丁度別れ道に差し掛かった所で足を止めた。
でも、サトくんは…
「ねぇ、パバさん…。アッチ…かもしれない…」
松岡先輩とは逆の方向を指差した。
子供の言うこと…
そう思わないわけじゃなかった。
でも、俺達はサトくんの”コビト”としての直感に掛けることにした。