Sweet Life 〜僕らの甘い時間〜【気象系BL】
第21章 なまリク♡vol.4 うさこさまリクエスト
潤side
「そろそろ戻ろうよ」
ショウくんが言った。
俺はもうちょっと先まで行きたかったけど、いつも強気なショウくんが、ちょっとだけ不安そうな顔をしたから、山を降りることにした。
でも、どうしよう…
「ねぇ、こんな道通ったっけ?」
そう言われて、俺の足がピタッと止まった。
迷子になったなんて…言えない…
俺はショウくんの手を握ると、また歩き始めた。
でも、歩いても歩いても、皆がいる場所には辿り着けなくて…
「もう僕疲れたよ…」
情けない声を上げるショウくんに、ちょっとだけイライラしちゃう
「もうちょっとだから頑張ろ?」
「でも、ずっと景色変わんないよ? …ねぇ、もしかして僕達…“盗難”したとか…?」
“盗難”じゃねぇし…、“遭難”だし…
「…ねぇ、僕達ここで死んじゃうの? クマさんに食べられちゃうの? 僕…そんなの…うわ〜ん」
ショウくんがとうとう泣き出しちゃった。
「な、泣くなよ! ほら、もうちょっとだから立って?」
ショウくんの手を引っ張るけど、ショウくんは膝を抱えたまま全然動かなくて…
「こんな所にいたら、本当にクマさんに食べられちゃうかもしれないよ? だから、立って?」
「びえーん…」
「ねぇ、ショウくんお願いだから立ってよぉ…」
じゃないと、俺まで泣きたくなっちゃうよ…
ワンワン泣いてるショウくんを見てるうちに、俺の鼻の奥が、ツーンと痛くなって…
「ふっ…ふっ…ふぇっ…ふぇーん…」
俺はショウくんの隣に膝を抱えて座ると、大きな声で泣き出した。
だって、本当は俺だって怖いんだもん…
クマさんに食べられたくないんだもん…
でもショウくんが泣いちゃったから、俺がしっかりしなきゃと思ったんだもん…
でももうムリ…
しじ『ウワーン ウワーン』
俺達の泣き声が山に響いた。