Sweet Life 〜僕らの甘い時間〜【気象系BL】
第17章 恋のまじないABC♡
「実はさ、たまたま廊下で君とすれ違った時、君の手に持ってた辞書の間から落ちたのを拾ってさ…」
そうだったのか…
しっかり挟んだつもりだったのに…
僕はやっぱりおっちょこちょいだ…
「本当はさ、もっと早く渡そうと思ってたんだけど、中々機会がなくてね? ごめんね?」
なんで櫻井君が謝んだよ?
おかしいじゃんか…
「ご、ごめんな…、気持ち悪いよな…、こんなの」
男のくせに相合傘とか書いちゃうなんてさ…
俺が櫻井君の立場だったら、マジで引いちゃうもん。
「わ、忘れてくれていいから…」
夢でも見たと思って、綺麗さっぱり忘れてくれても構わない。
僕は目に溜まった涙を櫻井君に見られたくなくて、櫻井君に背中を向けた。
本当はさ、走って逃げ出したい気分だったけど…
「いやー、実はさ、俺も忘れようと思ったんだけどね?」
そりゃそうだ。
嫌なことは、とっとと忘れた方が健康的だ。
「でもさ、忘れらんなくてさ…」
桜井君て、案外根に持つタイプなのか?
「それさ、間違ってるよ?」
は?
「実際は、左側に青いペンで好きな人の名前書いて、右側に赤いペンで自分の名前を書くのが正しいやり方なんだよ? 知らなかった?」
えっ、僕、間違えてたの?