Sweet Life 〜僕らの甘い時間〜【気象系BL】
第17章 恋のまじないABC♡
おまじないの効果が発揮されたのは、それから数日後のことだった。
とは言っても、僕はおまじないの存在なんて、すっかり忘れていたし、僕と櫻井くんの名前が書いた相合傘の紙が、辞書の間に無いことにも、全く気づいてなかった。
僕はその年の運動会の実行委員に抜擢された。
どうして僕が、って思わないわけじゃなかったけど、最後の運動会だし、思い出作りのため、と思って引き受けることにした。
でもやっぱり、“会議“なんてものは僕は苦手で、皆がアレコレ意見を交わしている最中も、ずっと机に顔を伏せて寝た振りをしていた。
「ここ、いいかな?」
頭上から降ってきた声に、僕は伏せていた顔を少しだけ上げて、ぼやけた目で声の主を確認した。
「隣、座ってもいい?」
「えっ、あっ、はい、どう…ぞ…」
僕の眠気は、一気に遥か彼方…遠くに飛んで行った。
だって、そこにあったのは、夢にまで見たイケメンの顔だったんだもん。
眠気だって、彼の前では平伏すしかない、ってもんだ。
「君、3組の大野君…、だよね?」
僕のこと…、知ってたの…?
どうして?
僕はそんなに目立つ方でもないし、それに櫻井君との接点だって、実際今までなかったし…
僕の手は、緊張のあまり、汗でびちょびちょになっていた。