Sweet Life 〜僕らの甘い時間〜【気象系BL】
第83章 君が還る場所
俺の問いかけに、特に何を言うわけでもなく、いつもと同じ笑顔を見せる貴方…
ねぇ、それってさ、狡くない?
いや、俺も相当狡いって思うけどさ、貴方も狡いよ…
そんな風に笑われたら、もう俺…我儘言えないじゃん。
分かってるくせに、狡いよ…
「兄さん、俺…」
「やめてよ、その呼び方」
え…?
「俺、翔ちゃんの兄ちゃんじゃないし…。それに…」
それに…なに?
「二人の時は、ちゃんと名前で呼ぶって約束したじゃん?なのに最近は全然呼んでくれないし…。もしかして 忘れちゃった?」
そうだった…
いつの間にか呼ばなくなった名前…
貴方は、俺が名前で呼ばなくなったのを、やたらと寂しがってたっけ…
でもさ、俺にとっての“兄貴”は貴方だけなんだよ?
貴方が、どれだけ嫌がったって、俺にとっての“兄貴”は貴方しかいないんだ。
でも…、そうだよね…、二人の時は普通の…どこにでもいるような、恋人同士でいたいって思うのは当然だよね。
なんだよ俺…、今になって思い出すとかさ、最低じゃん。
だけど、ごめん…
「ねぇ、呼んで? 昔みたいに、“智くん”て呼んで? そしたら俺…」
今俺、貴方の望み叶えて上げられねぇわ…