Sweet Life 〜僕らの甘い時間〜【気象系BL】
第32章 夏を乗り切れ!
『ど〜も…、いらっしゃいませ〜』
カーテンを捲った僕達を出迎えてくれたのは、所々を赤く染めた白装束を纏った、髪の長い幽霊さんで…
『この子を…うぅぅ…』
僕の手に、布で包まれたモノを手渡すと、スゥ〜っと消えてしまった。
「そ、それ…なに!」
「なんだろ?」
僕はそっと布を剥がすと、そこには…
「赤ちゃん…?」
小さな小さな、僕の手の中にスッポリ入ってしまうような、赤ちゃんのお人形さん。
「でもこの赤ちゃん、どうすればいいの?」
「俺に聞かないでよぉ…」
そうだよね…(;^_^A
聞いた僕がバカだったよ。
僕は赤ちゃんを抱っこさしたまま、更に奥へと足を進めた。
その時だ。
シュッと風を切るような音がして、僕の目の前を何かが掠めた。
ソイツは翔くんの目の前でピタリと止まると、何度かバウンドした。
「う、うぎゃ〜っ…!」
ランタンだけの明かりが灯る空間に、翔くんの絶叫が響いた。
あ〜あ、情けない…
ただの生首じゃん…
しかも作り物だし…
「はい、次行くよ?」
「ま、ま、ま、待ってぇ…」
情けない声を上げる翔くんを引っ張って、僕は次の“間”へのカーテンを捲った。