第26章 ミッチョン、しちゃう？【黄色に染まれ！】

｢ママ、それはなに？」

学校から帰って来た時から、ず～っと気になってたんだ。

ママが針で、白い布にチクチクやってるのが…

｢これ？　これはね、”ししゅう”って言うのよ？」

｢ししゅう？　それってむずかしい？」

オレが聞くと、ママは手を止めて、手に持っていた輪っかをテーブルに置くと、針や糸が入った箱のふたを開けた。

｢潤にはちょっと難しいかもしれないけど…、やってみる？」

｢うん、やってみたい！」

もし上手に出来たらカズに…σ(//ω//)

｢分かったわ。教えてあげる」

ママが真っ白なハンカチを出して、少し小さめの輪っかにパッチンとはめた。

｢何色の糸がいい？　やっぱり紫かしら？｣

箱の中から、束になった紫の糸を出す。

｢ううん、黄色がいい」

オレが好きなのは紫だけど、カズが好きなのは黄色だから。

｢あらそうなの？」

ママが紫色の糸を箱に仕舞って、黄色の糸の束を取り出した。

そして束の中から2本を引っこ抜くと、それを小さな針の穴に通した。

｢はい、これでいいわ。じゃあ、ママがやって見せるから、よく見ててね？」

｢うん！」

ママがテーブルの上に置いた輪っかを持って、針と糸でチクチクする。

やっぱりちょっと難しそうだ…(-ω-;)ｳｰﾝ

でも、カズを喜ばせたいから、オレ頑張る！