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Sweet Life 〜僕らの甘い時間〜【気象系BL】

第25章 僕らの一等賞


和達低学年の、緩くも可愛らしい演技が終わって、白熱の紅白対抗リレーも終わると、いよいよ運動会の一番の見せ場でもある5、6年生による組体操。

最近では”危険”だからと”やらない”選択をする小学校も多いらしいけど、和の学校では”絆を深めるため”の理由から、毎年欠かすことなく実施している。

皆靴も靴下も脱ぎ裸足になって、髪も顔も…体操服も砂まみれになりながら、一つ一つの技を決めていく。
その姿がとても凛々しくて…

最後の大技、ピラミッドを完成させた時には、胸の奥がジンと熱くなるのを感じた。

…と同時に、数年後の和の姿を想像してみる。

あんなにやる気なさそうに踊ってた子が、こんなこと出来るんだろうか、ってね。

確かに今の和を見る限り、正直”不安”しかない。

身体だって細くて、どちらかと言えば小柄な方だし、色だって白くて、如何にも弱っちく見える。

そんな和が…?

「おい、どうした? …んな顔して…」

「いえね、和もああなるんかな、って思ったらなんてゆうか…」

「ばっかやろぉ。ガキだっていつまでもガキのまんまじゃねぇんだ。それなりに成長だってすんだよ。心配すんな。和は和らしく、だ」

松岡さんの言う通りだ。

今は確かに小さな子供だけど、いつかは…

あ、ダメだ…
色んな事考えてたら、俺泣いちゃいそ…(ToT)

盛大な拍手が鳴り響く中、俺は目尻に溜まった涙を、首にかけたタオルでこっそり拭った。


こうして大盛況の内に幕を閉じた運動会。

結果は…

僅差で紅組の勝利。

サトくんとショウくん達紅組が喜びに湧く中、ジュンくんは悔し涙を拳で拭っていた。

誰よりも負けず嫌いだからな、ジュンくんは…

そして和も…

あまり表情には出さないけどね?

だって、ハーフパンツの裾を握った小さな手が、小刻みに振るえてるから…

きっと俺が思っている以上に、本人は負けたことが悔しいんだろうな、とその姿を見て俺は思った。
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