第3章 ほんとの君は…?
「なぁ…そろそろ機嫌直さへん…?」
俺の部屋のソファーの隅で体を丸め
膝に顔を埋めたままの花に
そう声をかけると…
「いやです…」
なんて顔も上げることなく
小さな返事が返ってくる…
ひなの仕事のことで
軽くパニックを起こしてた花を
なんとか家まで連れてきて
"仕事のことちゃんと教えてください…!"
そう言って今にも泣きそうな顔で
俺を見つめてくる花に根負けして
CDや雑誌の類いを
花の前に黙って置くと
花は何も言わずに
ひなが写る雑誌を見た後
体を丸めて今の体制になり
現状に至っている…(汗)
「でもあれやと思うぞ…?
ひなも悪気があったとかじゃなくて…
言い出せんかったんやと思うよ…?
お前はそういうん
気にしそうなタイプやしな(笑)?」
そう言ってペラペラと
花の前に置いた雑誌をめくると
花は突然がばりと顔をあげて
「そんなの当たり前じゃないですか!?
だって…ジャニーズって…アイドルって…
気にしますよそりゃ…?
でもそれとこれとは別で…
そんなことで嫌いになったりとか
する分けないのに…」
そう怒ったように言うと
今にもこぼれ落ちそうなほど
涙を溜めた目で俺を睨み付ける…
そんな花の頭に手を伸ばし
「そうやな…
確かにお前が言うとおり
全部ひなが悪い(笑)!
でもお前はひなの前やったら
どうせそんな風に文句言うたり…
愚痴ったりせぇへんやろ?
優しすぎるから(笑)
それやったら今全部…
吐き出しといたら…?
泣いてもエエし…怒鳴ってもええ…
今ある感情全部吹き出して
楽になればええやんか(笑)?」
そう言って髪を撫でると
一瞬驚いたように俺を見つめた後
「ず…るいなぁ…もう…(笑)
勝手に私の気持ちを読まないで下さいよ?」
そう言って下を向き
きつく握り締めた手の上に
ぼろぼろと涙の粒を落としていく…
なぁ…ひな…
お前はこれでええの…?
お前の好きな女は
いつもお前の知らんとこで
1人で悩んで苦しんで
泣いてるやんか…?
こんな風に泣かせてばっかりおるんなら
もし誰かに取られても
文句言われへんぞ…?