第3章 ほんとの君は…?
花side
朝からうきうきして
大嫌いな接客中も口許が緩んでしまうのは
仕事終わりに村上さんと
デートの約束をしているからで…(笑)
まだかまだかと時計とにらみ合いをし
18時になると同時に
ロッカールームに走り込んだのに…
鞄からスマホを取りだし
未読のメールを確認したとたん
ため息と一緒に魂まで
口からはみ出そうになる(涙)
『すまん…
今日突然仕事のミーティングが入って
デート行けそうにないわ…』
仕事なんだから仕方がない
そう頭では理解しても
ジェットコースター並みに急降下した気持ちは
なかなか戻ってはくれなくて…
仕方なくいつものように
お弁当とアイスを買い
家までの道をとぼとぼと歩いていると…
「恵(笑)」
そんなぞわっとする声と一緒に
トントン…と肩を叩かれて
恐る恐る後ろを振り向くと…
「今日は1人なんや(笑)?」
そう言って嬉しそうに笑う
岡村さんが呼んでもないのに
現れる……(涙)
「ほんとにもう
いい加減にしてもらえませんか…?」
私が村上さんといないときを見計らっては
いつも現れるこの人に
もう何度この言葉を
言ってきたことか…
話が通じない通じないとは
思っていたけれど…
ここまでとは思わなかった…(涙)
「そんなに照れんでも大丈夫やって(笑)」
相変わらず人の話をまったく聞かず
訳のわからないことを言いながら
私の肩に触れる岡村さんに…
「だから…触るな…ばか!!」
そう暴言を吐き出し
いつものように肩に触れる手を
振り払おうとすると
いつもなら素直に振り払われる手が
がっしりと私の腰を引き寄せ
「誰も見てないから久しぶりにしよか?」
なんて気持ちの悪い言葉と一緒に
岡村さんのとがった唇が近付いてくる…(汗)
「嫌だ…離せ…こら!?」
徐々に近付いてくる岡村さんの顔に
暴れまわってみても
やっぱり女の力では
男の人の力には太刀打ち出来なくて…
目の前に近付いた岡村さんの顔に
ぞわりと鳥肌を立て
目をぎゅっと閉じた瞬間…
唇に柔らかいものが勢いよくぶつかった(涙)