第1章 暗く淀んだ世界
毎朝決まって同じ時間に現れるそいつは
いつも帽子を目深にかぶっていて
いつも同じ物を買う…
だから金額もいつも同じ350円。
そいつはいつもなぜか
"おはよう花田さん(笑)"
そう私の名前を呼ぶ…
だからと言って
私がわざわざ名前を教えた訳じゃなく
嫌々ながら
胸にでかでかと着けさせられている
ネームプレートを見て
知ったようで…
初めて名前を呼ばれた時には
あまりの衝撃にまじまじとそいつの顔を
見つめてしまったほどだ(涙)
でもそれよりも衝撃的だったのは
そいつの顔をまじまじと見つめる私に
そいつが笑顔で放った
「うわぁ…はじめてちゃんと顔見たけど…
花田さん顔…死んでるで…(笑)?
もっと笑たらええのに…(笑)」
そんな一言だった…(涙)