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toi toi toi【進撃の巨人】

第10章 出発




コンコンッ



緊張が最高潮に達した時、乾いたノック音が響いた。


「エマいるー?」


扉の向こう側から聞こえた声に、エマとリヴァイはサッとその身を離した。


「いるよ!どうぞ」


しまった。

少し上擦った声が出てしまった。


横目でリヴァイの様子を伺うと、彼は視線を部屋の隅に向け口を閉ざしている。


……彼も少しは動揺したりするのだろうか



「エマ、移動が終わったなら一緒に……ってあれ?」


ドアを開けて入って来たのは、ナナバだ。
彼女の後ろにはミケの姿もある。


「もしかして、お邪魔だった?」

「え!?なんで?」

「なんか顔が赤いもん」

「これは……実は、荷物に紛れてた下着をリヴァイに触られてしまって……」

「てめぇ……後で覚えとけよ」


とっさの言い訳に、リヴァイの刺すような視線が向けられる。

そんな目で見ないで欲しい。
変態のように扱った事は後で謝るから……


呆れ顔のナナバは、リヴァイと挨拶を交わしている。

話すのは初めてだと言うが、彼女が部屋の掃除を話題に上げると、それなりに会話は盛り上がっているようだ。


「……てことで、もうすぐ夕食の時間だから一緒に行かない?」


ナナバの提案には大賛成。
なにせ1日がかりで引っ越しをし、お腹が空いて仕方がない。


「行く行く!ついでに掃除用具片付けよう?」

「ああ、そうだな」


リヴァイと分担して道具を抱え、部屋を出る。

その刹那、エマはリヴァイのジャケットの裾を引っ張った。

気づいた彼が、不思議そうに振り返る。



……一つだけ



エマはリヴァイの耳元に唇を寄せ、小さな声で囁いた。


「また、名前で呼んでくれる?」


10章 END
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