第56章 作戦会議
「雨天中止かー。」
「まぁ、仕方ねーな。」
皆が納得したように頷いている。
初めは驚いていたものの、時間が経てば皆"理解"という文字を頭に浮かべていた。
誰が気づいて、これ野球の試合なのかって。
雨天中止って明らかに野球の試合じゃん。
「どうしたの?」
そんなことを考えていると、藤崎先輩が声をかけてきた。
「え……あ、なんでもないです。」
と、笑顔で答える。
まさか心の中で皆に訴えているなど言えようものか。
それこそこの場の空気を乱してしまう。
それは、避けたい。
「そっか。」
先輩も優しく笑うと、あたしの頭をポンポンと撫でた。
「あー!!拓が桜ちゃんにスケベなことしてる!!」
突然叫び声が聞こえてきた。
そちらへ目を向けると、三善先輩が指を指しながら此方を見ていた。
「そりゃ、お前だろうがよッ!!」
バコッ――
大川先輩が握り拳を作り、三善先輩の頭を殴った。
「いてぇッ!!なんで、俺殴られるの!?」
「なんとなく。」
「そりゃねぇよ―。」
三善先輩が頭を押さえながら訴えている。
それを見ていた皆が笑った。