第54章 団結と侵略
「お前はさっきのハジキでいいな、くれてやる。」
座って刀を手にした宗次郎が言った。
「おどれはどうするんジャ?ヤッパ(刃物)だけかい。」
「いや、万が一の為にハジキは二丁所持している。」
「準備よすぎジャろッ!!なんなんジャおどれは。寒気するわ。」
ブルッと身を震わせた。
「そんな格好してればな。」
「格好関係ないわ!!おどれはホントにわけの分からん奴ジャの。」
「分からん方がかえって都合がいい。」
そう言って宗次郎が立ち上がる。
「なにがや。」
「相手に悟られにくいってことだ。」
チラリと善司に目を向けた。
―――前々から思っとったけど、コイツいつも冷静ジャな。
ジッと善司が宗次郎を見た。
「冷静じゃないと、相手に付け入られる。」
「は?なんで――」
「お前が考えていることなど顔を見れば分かる。」
扉に手を起きながら言った。
「………ふーん。」
「もう少し修行しろ。」
そう言って扉を上げた。
「言われんでもわかっとるわ。」
宗次郎の背中に吐き出した。