第53章 闇からの使者
「…誠也君、痛い。」
「我慢しろ、でも気持ちいいだろ?」
「……うん。」
夜中、尿意で目が覚めた。
すると、ベッドの下から姉御と兄貴の声が聞こえてきた。
―――何が痛いんだ?
―――何が気持ちいいんだ?
幼気のない小学四年生には少々刺激が強い会話だ。
時々、兄貴達が夜中何かをしているのは知っていた。
気をきかせて気付かないフリはしていたけど、今日はちょっと我慢できない。
だって、
便所に行きたいから。
勘弁してくれよ。
他所でやってくれ。
尿意が強すぎて我慢できない。
思い切って起き上がろうか。
ワナワナと身体が震える。
「あ…だめっ……。」
姉御の色っぽい声が聞こえてきた。
兄貴何やってんだ!?
なんだこの感情は。
身体が熱くなってくる。
あー、もう我慢出来ねぇッ!!
バサッ―――
身体を思いっきり起こした。