第51章 溺れた者と再来
ドンッ―――
彼の方ばかり見ていたので、誰かにぶつかってしまった。
「すいませ……あっ。」
「また、アンタかよ。」
彼が不機嫌そうに前を見ている。
「おーおー、赤助に桜ちゃん。奇遇だねぇ、三度目ともなるともう完全に運命だろ。」
頭を掻きながらアザのある堀田さんが目の前で笑った
「はいはい、そうかよ。」
誠也君は堀田さんに興味無さそうに言うと、あたしの手を引いた。
「まぁ、本当に…"偶然"ならな。」
「は?」
バコッ―――
「誠也君ッ!?」
堀田さんの拳が彼の頬に入った。
「………っ、なにしやがんだテメェ……。」
誠也君の眉間にシワが寄る。
「なにって……目的果たすんだよ。でないと、こんな腐った町に来た意味がねぇ。」
ポケットから煙草を取り出し、くわえて火を着けた。
「なぁ、赤助。いや…極使天馬の総長"秋本誠也"。」
白煙が彼の口から吐き出された。