第5章 出逢い
「秋本!?てめぇ!!」
「終業式に特服(とっぷく)で来たら先公に呼び出されてよぉ…参った。」
そう言って秋本先輩は頭を掻いた。
「つーわけで、俺めちゃめちゃ機嫌わりぃんだよ。だからさ…これ以上キレさせんな。」
先輩は望月先輩を睨んだ。
それも激しく。
「……っ…。」
一瞬、望月先輩は怯んだ。
「つかよぉ、惚れた女に手出すって最低だなお前。」
「はぁ?お前に関係ないだろ!!」
「関係あんだよ。…そいつは、俺の惚れた女だから。」
先輩はあたしを見た。
どういう事?
惚れた女?
あたしが?
私は嬉しくて胸が高鳴るのを感じた。
「まぁ、いいや。返してもらうわ。」
そう言って先輩は歩き出した。
その間誰も手を出さない。
なぜなら皆、彼の強さを知っているだろうから。
「悪かったな、遅れて。」
先輩はあたしの前で止まった。
「これ着て。」
特攻服を脱ぐと先輩はあたしに掛けてくれた。
鍛えられた身体にお腹に巻かれたサラシ。
こういう状況だけどドキドキした。
「帰るか。」
「え?」
先輩はあたしを抱き抱えた。
「じゃあな。」
そして、出口へ向かう。