第48章 神影
タワービル最上階。
「なーんか嫌な予感がするんやけどなぁ……。」
藤堂は愛用の大きな椅子に小さな身体を埋めながら、ガラス窓の外を見ていた。
小さな車が道路を走っている。
小さな針で刺した穴のような沢山の人間も細かく動いている。
「今回、上手くいきすぎやない?」
「何がですか?」
頬杖をついた藤堂にヘレンは尋ねた。
「情報が簡単に入ってくる。それに、西条会に裏切り者ってありきたり過ぎて……こう胸が気持ち悪ぅなるわ。」
「はぁ……?」
「もっと大変な事が起きてる気がするんや。なんやろなぁ……分からんわ。」
「気のせいでは?」
「そんなことないよ。ワイの勘は大体当たるんや。」
「そうですか?」
「なん?疑っとるん?」
ジロリと藤堂はヘレンを見た
「いえ、別に。」
ヘレンは彼を見ずにファイルに目を向ける。
「そっか。」
藤堂は再び窓の外に目を向けた。