第46章 守りたいという名の勇気
ゲーム機というゲーム機を避けて逃げる。
走ることに自信なんてない。
むしろ、運動神経はまるでない。
だけど、捕まりたくない。
もう…罪をおかしたくない。
「はぁ…はぁ…はぁ……。」
肺が苦しい。
何度もこけそうになった。
後ろから迫ってくる悪魔の集団。
あたしを見る好奇の目。
ヤダヤダヤダ―――
恐いよ――
溢れそうになる涙を堪えて走った。
そして、見えてくる出口という名の希望。
出入り口の扉の前に着くと、
バンッ―――
一気に扉を開けた。
希望が―――
ヴォンヴォンヴォン―――
「ヒャハハハハ―――」
「可愛いネエチャンが出てきやがったァ―――!!」
「捕まえろ―――!!」
――なかった。
目の前に広がる黒の絶望の海。
バイクに跨がった知らない男達が気持ち悪い笑いを浮かべながらこちらを見ている。
ドサッ―――
全身の力抜けて地面に崩れ落ちる。
「残念だったね。」
後ろで辰川が笑っている。
ナンデナンデナンデ―――
もう、こんなのイヤだッ!!
ただ、彼といたいだけなのに――
神様はどうしてこんなに意地悪なんですか?
涙が溢れてくる。
「そうでもねえゾ?」
突然、バイクの後ろから聞こえてきた声。
ヴォンッヴォオオンヴォン―――
馬鹿デカイ排気音。
バキッ――
ドゴッ――
「ぐあっ――」
「かはっ―――」
倒れ行く、黒の兵隊達。
それを掻き分ける、赤い髪。
紫の特攻服。
黒のブーツ。
「わりぃ…遅れた。」
大好きな彼が目の前にいた。