第46章 守りたいという名の勇気
外灯に照らされながら、道で勇人君と辰川が向かい合っている。
勇人君は小学生四年生。
片や、辰川は高校二年生。
身長にも差がある。
それに、辰川は余裕の表情でヘラヘラと笑っている。
「本当に一発でも当てたら、姉御を返してくれんだろうなッ!!」
勇人君が叫んだ。
「……まぁ、当てられたらね。」
上から彼を見下ろしている。
そして、タバコを取り出し、ライターで火をつけた。
「いつでも来れば?」
余裕の表情で煙草を吸っている。
あたしはそんな彼らを男の横で見ていた。
今なら勇人君を連れて逃げる事が出来るかもしれない。
素足の足をゆっくりと動かしながら男から離れようとする。
「…もし、そのまま逃げたら殺すから。」
あたしを見ずに辰川が言った。
ガシッ―――
男に腕を掴まれた。
最悪だ。
もうこれで逃げる事ができない。
このままじゃ、勇人君が――。
なんであたしはいつも役にたてないの?
涙が溢れそうになる。
泣くな桜。
自分で変えなきゃ、この状況を。
でも、どうする?
携帯は部屋だし――。