第44章 爆鬼
金曜日。
PM9:36
チュドーン
バババババ――
「いけいけいけー。」
とある町の古びたゲームセンター。
カラフルな頭の男や女が集まっている。
その中である男は椅子に座ってシューティングゲームに夢中になっていた。
「最近、極使天馬の奴等調子に乗ってる。」
茶髪に赤いメッシュを入れた男が男の背中に向かって言った。
バババババ――
「だからァ?潰せばいいじゃん。」
男は振り向こうとしない。
小刻みに腕を動かしている。
「そうもいかねぇんだ。なんでも、総長の秋本っつう―――」
「は?今何て言った?」
男の手が止まった。
「だから、総長の秋本誠也が強いって――」
「へぇ……。」
男がゆっくりと振り返った。
彼の名は"辰川 弘敏"。
爆鬼(ばくき)十四代目総長である。
「弘敏…?」
「なんだか楽しくなってきた。」
彼は子供のように椅子に手を置いて身体を揺らしている。
「なにが?」
「色々。」
彼の後ろで画面が真っ暗になったゲーム機が"Game over"と表示していた。