第43章 女顔の男
電車を降りても辰川はずっとついてきた。
というより、なんでうちの学校と西康は近いの!?
もうちょっと造る場所を考えてほしい。
出来るだけ誠也君に身を寄せて辰川から距離をとった。
「………。」
誠也君は彼を見ないようにしている。
「ねぇ。」
一方の辰川はニコニコと笑いながら此方を見ている。
見ないで。
早く行って。
関わらないで。
あたしも辰川を見ないようにした。
「俺、嫌われちゃった?うわーん、なんか悲しい。」
辰川が泣く真似をしている。
恥ずかしい。
周りの学生達の視線を一気に集めてしまっている。
「うせろ。」
誠也君はそれだけ言うと、校門の中へ入った。
あたしも一緒に入る。
「バイバーイ。」
後ろの方で辰川の声がした。