第43章 女顔の男
翌日。
熱が下がったので学校に行くことにした。
スカートの下に履いた黒のタイツのお陰で温かい。
電車を待ちながら手に息を吹き掛ける。
「大丈夫なんかよ。」
朝から彼はずっと心配している。
昨日、風邪引いたのだから当たり前だけど。
なんだかうれしい。
口元が自然と緩んだ。
「きゃっ――。」
朝の電車は通勤ラッシュの為人が多い。
彼とはぐれないように手を繋いだ。
電車に乗ると丁度ドアの所になった。
ドアの窓に身体を密着させるようにあたしは立っている。
その横には彼が。
そして、知らない男性が後ろにいる。
人が多い為か、男が密着してくる。
覆い被さるように。
タイツ履いててよかったと本当に思う。