第41章 放たれる銃弾
11月の始め。
宗次郎が乗った車が国道を軽快に走っていた。
代わり行く景色を車内から眺めながら口を閉じていた。
今日は韓国のマフィアのアンダーボス(若頭)との大事な話し合いがある。
だから、遅れる訳にはいかなかった。
約束の時間までは後一時間。
普通に行けば間に合うだろう。
宗次郎は腕時計で確認すると、目を閉じた。
彼は、考え事をする際、目を閉じる癖がある。
相手側と友好に話を進める為にどうしたらいいか考えていた。
キュッ―――
信号手前で車が止まった。
赤だ。
信号が青になるまで待つ。
二車線ある道路の右側に黒い車が止まった。
自分達の車に添うように。
宗次郎は目を開けてチラリとそれに目を向けた。
ただの筋者の車。
気にする事はない。
けれど、宗次郎は妙に気になった。
そして、ゆっくり相手側の後部座席の窓が開きはじめた。
「行け!!」
その瞬間、彼は叫んだ。
「え?」
「いいから行け!!」
「はっはい!!」
突然の事で、運転手も護衛も驚いていた。
力強くアクセルを踏み込む。