第40章 回収野郎
「ケン、次はどこや?」
「六棟の21号室ッス。」
馬場団地のごみ山の間を加藤と建一が歩いていた。
建一は茶髪の坊主にイメージチェンジしていた。
そのため、風貌が一気に変わっている。
そして、服装も奇抜なシャツに半ズボン、草履という加藤と瓜二つの格好をしている。
「おぅ、今日回収日だ!!開けんかい!!」
21号室の扉を激しく建一が叩く。
しかし、返答がない。
「なんや、留守か……いや。」
加藤はドアの横にある窓を見た。
何の変哲もないただの特殊硝子の窓。
近くにあった箒を手に取る。
「兄貴?」
建一が不思議そうに加藤を見た。
「ケン…こういう奴等はな―――。」
パリン――
ガシャン――
「甘く見おったら付け上がるんや。」
箒の持ち手で硝子を割った。
硝子が飛び散る。
加藤は箒を投げ捨てるといとも簡単に中へ侵入した。
彼の頭には"犯罪"という言葉はない。
バリ――
「居留守つこーたらアカン言ったやん、オバハン。」
建一が中に入ると加藤は汚ならしい女の前にしゃがみこんでいた。