第4章 彼と彼
「今日も俺ん家来る?」
電車に揺られながら隣で彼が言った。
「うん。」
手は繋がれている。
彼のゴツゴツした指。
喧嘩をいっぱいしてきたのか傷痕がいっぱいある。
前。
彼は自分の手を汚いと言った。
だけどあたしはそう思わない。
彼のこの大きな手が大好きだ。
「今度さ…どっかいかねぇ?」
「うん。」
「お前の行きてぇとこどこでも連れてってやる。どこ行きたい?」
彼があたしを見た。
あたしは一瞬考えて
「中学校。」
彼を見た。
「は?なんで?もっと良いとこあんだろ?」
誠也君は不思議そうな顔をした。
「誠也君と初めてあったとこに行きたいから。」
そう言ってあたしは彼の肩に頭を寄せた。