第33章 恐怖再来
「千加達襲われたんだって?あの、通り魔に。」
「大変だったね、大丈夫だった?」
学校に着くと麻央達が昨日の話をしていた。
千加は椅子の上でうずくまっている。
「うん、誠也君達がなんとかしてくれたから。」
鞄を机の横にかけながら言った。
あれから、彼の前であの男の話はしなかった。
なんだかタブーな気がしたから。
「大川先輩もやられたんでしょ?どんだけ強いの、その人。」
美奈子が鏡を前に髪を触っている。
「なんか…薬物中毒だったみたい。すごい臭いがしたから。」
「マジックみたいな?」
「うん。」
早苗の問に頷いた。
「大川先輩…死んじゃうかと思った…。」
千加が顔が上げた。
目が潤んでいる。
「恐かったもんね。」
あたしは彼女を見た。
でも、悲しそうな顔をしていた。
また、思い出してしまった。