第32章 嫉妬深い彼とズルいあたし
「なんか、すごい音しよったけど…何しよったん?」
ご飯を食べ終わった勇人君が、リビングのソファーでテレビを見ながら言った。
「オメーにはまだはえーことだ。」
何事もなかったかのように制服を着た彼が食卓につく。
「はぁ?意味分からんし。」
勇人君は首を傾げた。
そして、身体の熱を追い払うように手で扇ぎながらあたしは階段を降りた。
「あれ?姉御熱あるん?」
「えっ?なんで?」
「顔赤いしきつそうだから。」
不思議そうに勇人君が見てくる。
「な…ないよ。」
慌てて否定する。
「運動会したんだから、しゃあねぇだろ。」
ご飯を口に運びながら誠也君が言った。
「せっ…誠也君!!」
あたしは慌てて食卓に着く。
「運動会?」
勇人君は頭上にはてなマークを浮かべている。
「お前にはまだはえーよ。」
彼が呟いた。