• テキストサイズ

レッテル 1

第30章 恐怖




「ふーふーふー………。」

空の空き缶を鼻にあて、異様な臭いを鼻から吸い上げる。

「あー……。」

クラクラとする感覚と、万華鏡の様なキラキラとした世界が周りに広がっている。
誰からも見られないような裏路地の建物の間で、男は異世界をさ迷っていた。
いや、違う。
実体は現実にある。
感覚だけがさ迷っているのだ。

「……クッ……クックックッ……。」

瞳孔が開ききった目が出口をとらえる。
山吹色の顔にかかった髪がパラパラと揺れた。
鍛えられた身体を駆使し、順調に歩みを進める。

ポタ…

ポタ…

緩みきった口から涎が垂れ落ちる。


彼は薬物依存だった。



/ 1026ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp