• テキストサイズ

レッテル 1

第29章 紫の特攻服




次の日。

「………。」

あたしは、部屋に飾られてある大中小の紫の特攻服を睨んでいた。
"朝日 桜"

そう書かれてある真ん中にある特攻服。
これは素直に喜ぶべきなのだろうか。
喧嘩もバイクもド素人のあたしが、はたして族の看板であるこの特攻服を羽織ってもよいものか。
ずっと考えていた。

「なかなかいいできだろ?龍にしようか迷ったけど椿の刺繍にしてもらったんだ。」

あたしの名前の下にある大きな花の刺繍を触りながら彼が言った。
そういえば、あったな。
彼の特攻服の背中には龍がある。
勇人君にも。

「お前には花が似合うと思ったんだ。」

彼が無邪気に笑った。

「そっか。」

あたしも思わず笑ってしまう。

始めは嫌だったけど、彼が喜んでいるのだからあたしも素直に喜ぶことにしよう。

あたしは、壁にかかった特攻服を見つめた。



/ 1026ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp