第29章 紫の特攻服
「姉御の初特攻服(とっぷく)を祝いましてー、爆音コールじゃー!!」
誰かが叫んだ。
兵隊達が一気にギアとクラッチを使い爆音コールをかます。
ヴォンヴォンヴォン―――
やめてー!!
あたしは顔を真っ赤にしながら彼の背中に顔を埋めた。
「やかましいわ!!きさま等止めんかー!!」
警官が力一杯スピーカーで叫んでいる。
「止めんわ、ボケェ!!」
ヴォンヴォンヴォン―――
さらに爆音になる。
そしてジクザクの蛇行運転。
迷惑きわまりない。
顔を上げて周りを見れば、国道沿いの夜中開いてる筈の店が次々と店じまいしている。
遠くの家では次々と灯りがついていた。
「秋本さんマジ最高っスー!!」
路上で男達が騒いでいる。
残念ながら女はいない。
「よぅ、かましてんな。」
紫のケンメリが反対車線を逆送して先頭の横につく。
望月さん達だ。
石田さんが運転している。
「望田さん、チャーッス!!」
三善先輩が手を上げた。
「おぅ、派手に騒げよ。」
望月さんがそう言うと窓が閉まって車は走っていった。