第28章 下と上
昼下がりの午後。
「クソがっ!!なんでワシが若衆なんや!!」
セカンドバックを片手にがに股で加藤は歩いていた。
松下の部下に成り下がった彼は借金の回収をしているのだ。
ドンドンドンドン――――
「おぅ、今日支払日やで!!開けんかいっ!!」
馬場団地の一棟の5号室のドアを激しく叩く。
しかし、反応はない。
だが、彼は分かっていた。
居留守だと。
「しゃーないわ。」
頭を掻いて建物の裏手に回る
「ここらへんやったのぉ。」
カーテンが閉まってる大きな窓の前に立った。
パリンッ――ガシャン――
彼は足で窓ガラスを割った。
半ズボンに草履立ったため破片が素肌に当たる。
「あー、うっとうしいわ。」
それを足をふって払いのけると、窓の鍵を開けた。
ガラガラガラ―――
「おぅ、おどれらワシから逃げられるおもーたら甘いで?」
中にいた汚ならしい夫婦を上から見下ろす。
「いっ今は金が……。」
男が怯えぎみに言った。