第23章 デート(仮)
「あはは、お姉ちゃん達大変だったんだね。」
ベットに座る勇人君が笑った。
結局、あたし達は勇人君のお見舞いに来ていた。
本当にとんだデートになった。
「うん、でも…誠也君と一緒にいれて楽しかった。」
あたしの隣の椅子に座る誠也君の肩に頭を置いた。
「あぶねぇ……たく。」
林檎の皮を剥いていた誠也君が驚く。
いや、普通はあたしが剥くんだろうけど…。
「僕もはやく退院して、お兄ちゃんとお姉ちゃんとどこかに行きたいなぁ…。僕…家族で何処かへ行ったことないから―――」
「あ…。」
勇人君は悲しそうに俯いた。
そうだよね。
ずっと家でひとりぼっちだったんだよね。
あたしは勇人君を見ることが出来なかった。
「ほら、勇人。」
そんな時、林檎を切り終えた彼が、林檎の入ったお皿を勇人君の前に置いた。
「それ食って早く傷治せ。…皆でどっか行くんだろ?」
彼がガシガシと勇人君の頭を撫でた。
「うっうん!!」
勇人君は無邪気に笑うと林檎を頬張った。