第21章 儚い想い
「…………っ――――。」
目が覚めると白い天井が目に入った。
窓の外はもう明るい。
あればなんだったのだろうか。
考えると頭が痛くなる。
それに妙に身体が重い。
あたしはゆっくりと身体を起こした。
「………あ……。」
見馴れた赤い髪の毛が目に写る。
彼だ。
なぜ、彼がここに?
これも夢なのだろうか。
ますます頭が痛くなる。
「……ん……。」
彼が身体を起こした。
眠っていたようで瞼が重そうだ。
「せ…誠也君?」
恐る恐るたずねる
これも幻だったらと思うと恐い。
「………桜!?」
彼はあたしに気付くと力強くあたしを抱き締めた。
「すげぇ…逢いたかった。」
「……うん。」
「ずっと探してた。」
「………うん。」
「…俺―――」
彼はあたしを離すとジッとあたしの目を見た。
思わず顔を反らしそうになる。
だってあたしは…
けれど、彼に顔を両手で捕まれた。
「俺がこうなったのはお前のせいじゃねぇ。だから―――俺を見てくれ。」
そう言って彼はあたしに口付けた。
それから二日後、勇人君がゆっくりと目を覚ました。