第21章 儚い想い
「実は…桜ちゃんの居場所分かってんだ。」
ICUのベットの上で眠る親友をガラス越しで見ながら藤崎先輩は呟いた。
「どういう事だよ。」
座って俯いていた三善先輩が顔を上げた。
「実は…桜ちゃんを探してる最中、電話があったんだ。」
「誰から?」
西村先輩が急かす。
「俺の弟。」
藤崎先輩がポツリと呟く。
「そういや…お前の弟、岩中組の舎弟だっけ?」
「あぁ…。」
大川先輩の言葉に頷く。
「それで、どこにいるんだよ?」
「岩中組の若頭と一緒にいるらしい。」
「え?」
皆は驚いたように口を開いた。
「若頭が桜ちゃんに目をつけたそうだ。」
「なんでまた……松下の野郎か。」
三善先輩が拳を握る。