第19章 初会
PM1:30
極使天馬集会所
「いたか!?」
「いや…いねぇ。」
「そっか、もう一回探してくる!!
誠也君はバイクに飛び乗った。
「勇人!!お前はここにいろ!!」
「わかった!!」
彼はバイクを走らせた。
細い道だろうが車がいようが彼はスピードを上げ続けた。
メーターはとっくに振り切っている。
それもこれも、いなくなった彼女を取り戻すため。
「クソ!!どこに――」
国道を走っていると、ある車が目に止まった。
黒光りする国産高級車。
スモークがフロントガラス以外全て貼られている。
それは、考えなくてもスジ者の車とすぐに分かる。
普通に考えればただのスジ者の車。
けれど、彼にはそれが気になった。
ゆっくりと向こうからやって来てすれ違っていく。
実際はゆっくりではないけど、彼にはゆっくりに見えた。
運転手は黒いスーツを着た黒髪のオールバックの男。
助手席に着物を着た女性を乗せている。
奥さんだろうか。
でも、どこか探し人に似ている気がした。
けれど無情にも車も彼のバイクも過ぎて行く。
一瞬の出来事だった。