第18章 絶望から希望へ
PM2:30
西條会本部の門の前。
「おじき、兄貴お疲れ様です!!」
ガラスにスモークが貼られた黒光りする高級車の前に加藤達は立っていた。
松下もいる。
ガチャ―――
始めに二十代後半で威圧的な風貌の黒いスーツを着た男が降りてきた。
この男の名は、岩中 宗次郎(いわなか そうじろう)。
岩中組若頭だ。
そして、次に降りてきたのは、スキンヘッドでガタイの良い紺色のスーツを着た男だ。
名は、岩中 董次郎(いわなか とうじろう)。
岩中組組長である。
「……ワレ、どうしたんや。その格好…やられたんやなかろうな?」
董次郎の眼光が山下に突き刺さる。
「いっ…いいえ。ちょ…ちょっと転びまして…。」
山下は焦って応えた。
「…おい、松下。おどれ、ちゃんと回収できとんか?暴走族にやられたんやとなぁ…。」
松下にも突き刺さる。
「そ…それは…――。」
松下が頭を下げながら震えている。
「まぁいい。ちゃんと回収せぇよ。」
「は…はい!!」
董次郎はそう言うと西條会の門をくぐっていく。
その後ろを宗次郎が黙ってついていった。
「おぅ、お前等ちゃんとおじきと兄貴を護衛すんやで!!ヘマは絶対許さんさかいのぉ。」
加藤は扇子を出しながら下っぱ達を睨み付けた。
「はっはい。」
下っぱ達はあわてて、二人を追いかけた。