第17章 危険な企み
「夛田(ただ)…ちゃんと回収出来たんだろうな?」
蛍光灯がチラチラと消えかかってる部屋で、大きな机の皮造りの椅子にすわっている三十代前半位の男が呟いた。
黒髪で整髪料を使ってオールバックにしている。
スーツは派手で奇抜なファッションだ。
そして、顔には左頬に大きな切り傷がある。
名は、松下 直仁(まつした なおひと)という。
「すいません…後一件だけがどうし―――」
バキッ――
「馬鹿野郎!!全部回収出来るまで帰ってくんなっつっただろうがぁ!!」
松下は立ち上がると夛田を殴った。
がたいのいい夛田が壁にぶつかる。
「すっすいません…松下さん――」
「あぁん?すいませんだぁ?なら、さっさと働かんかいワレェ!!」
ドコ―――
「がはっ―――」
腹に先の尖った革靴が食い込む。
彼の革靴は鉄入りなので少々重い。
夛田は口から大量の血を吐いた。