第14章 復讐と鬼神
バコッ――
誠也君は白石先輩を殴った。
思いっきり。
先輩が吹き飛ぶ。
「…テメェ…今日死ぬぞ?」
瞳孔が開ききってる。
それは彼が完全にキレていることを意味する。
「さぁ、それはどうかなー。桜ちゃん、君が愛してるのは誰ー?」
そんなの悩む間でもない。
「せ――。」
「誰?」
「……白石先輩。」
「えらい、えらい。」
白石先輩はパチパチと手を叩いた。
あたしは、さっき言われた事を思い出していた。
あたしがいうことをきかないと彼が―――
「わかった?お前の大事なもん全部奪ってやる、俺の大事な体傷付けやがって。疼くんだよ…傷が。」
「…………。」
「テメーを殺せってなぁ!!」
そう言って白石先輩は特攻服の上を脱いだ。
「……っ。」
あたしは息を飲んだ。
彼の左上半身と腕に酷い火傷の痕があった。
「それにしても、後もう少しだったのに…俺の赤ちゃん。」
彼はあたしに近付くとあたしのお腹を擦った。
「まぁ、いいや。これからずっと一緒にいれるもんねー。」
「人の女に気安くさわんじゃねぇ!!」
誠也君が叫んだ。
「クックックッ…君の女?ずっと手紙や電話が来てるの気付かなかったのに?机の中に使用済みのコンドームが入ってるのも知らなかったのに?」
「やめて!!」
「ずっとそれでないてたのに…テメェは気付かなかったくせによぉ。」
白石先輩は不気味に笑った。
「……桜…それ本当なんか?」
「ホントだよ。俺がやったんだから――」
「テメェは黙ってろ!!…ホントなんか?」
彼が辛そうにあたしを見ている。
「…………うん。」
あたしは小さく答えた。
「そっか…ごめんな。」
「わかった?お前は彼女に相応しくないの。俺が彼女を―――」
バキッ――
彼の拳が白石先輩の顔面に入った。
「…ぶっ殺す…、死んでも地獄までいって殺してやる。テメェは絶対にゆるさねぇ…。」
また、彼の瞳孔が開いた。