第12章 手
「死ね!!秋本!!」
中村の拳が降り注ぐ。
「誠也!!」
藤崎先輩が叫んだ。
「あー…どいつもこいつもうるせぇなぁ…。」
「テメェ!!」
彼は拳を受け止めた。
わなわなと震えている。
「人間…そんな簡単に死なねーよ、刺されたぐらいじゃ。」
バコッ―――
「がはっ―――」
彼は中村の腹に拳を入れた。
中村が血を吐く。
そして、彼を離した。
「きたねぇ…真似すんじゃねぇ!!」
腹に刺さったバタフライナイフを抜いた。
ジワジワとサラシに血が滲む。
「男なら堂々と闘えや!!」
彼は思いっきり彼の顎を蹴った。
「がはっ――――。」
その勢いでひっくり返った中村はそのまま動かなかった。
気絶したのだ。
「………。」
彼は無言で携帯を取り出した。