第11章 夜空の花
今頃、誠也君何してるんだろ。
空に上がる大輪の花達を見ながらあたしは考えていた。
本来なら隣にいるのは赤い髪をした彼。
大きくてゴツゴツとした優しい手で包んでくれる彼。
でも今いるのはオレンジ色の髪をした同級生。
なんだか寂しい…。
彼に会いたい。
ブーブー……―――
そんな時携帯が鳴り出した。
「もしもし。」
あたしは電話に出た。
「…桜…。」
消え入りそうな声が聞こえてきた。
彼だ。
「誠也君?どうしたの?」
嬉しくて胸が踊り出す。
「…楽しいか?」
「うん。」
「そっか…。」
「でも―――」
「……愛し…て…る。」
ドサッ―――
「誠也!!」
電話の向こうから藤崎先輩達の声が聞こえてきた。
ガヤガヤと騒いでいる。
「誠也君!?」
嫌な予感がした。
「桜ちゃん!!俺だけど――」
「藤崎先輩!!誠也君どうしたんですか!!」
あたしは叫んだ。
周りの人が見ている。
「落ち着いて聞いて…、
……誠也が刺された。」
「え…。」
あたしは携帯を落とした。
煩く花火は鳴っていた。